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アドベントカレンダー26日目の記事です。
えっ、アドベントカレンダーって25日までなんですか?それは世間一般的な話でしょう。ないよりはあるほうがよいと思いませんか。
※全部二人戦前提で話します。
後手が強くなるカード……と言われていますが
密輸人は後手を有利にするカードと言われています。先手が先に強いカードを買い、その強いカードを後手が密輸人で獲得できるから、あるいは逆に先手が3ターン目に密輸人を引いても密輸人しか獲得できない可能性が高いから、あたりが理由です。dombotによると先手の勝率は58.4%、銀貨(全ゲーム平均)は59.1%と平均より先手が勝てなくなるので統計的にも確かなようです。
※画像左上のfirst playerの項目です。
しかしこれはあくまで序盤だけの話で、個人的に密輸人の本質はそこではないと思っています。密輸人の重要な点は有利なプレイヤーをさらに有利にするところにあると思います。
勝ってる側がさらに強くなるカード
今回最も言いたいことです。
例えば点数で負けていて公領を買いたいとき、果たして公領を買ってもよいのでしょうか?公領を買えば相手の次のターンで密輸人を使われるかもしれません。相手が密輸人を2枚以上持っていたら?自分が3点行動をしたために相手は6点行動、どうやって勝つんですか。強いカードを買いたいのに相手のほうがうまく使えるために買えないという地獄を密輸人は生み出すのです。
これは公領じゃなくても同じです。狩猟団、庭師、集めたら強いカードなら何でも、よりデッキが回って密輸人を繰り返し使えるプレイヤーが対戦相手に便乗して有利状態を固定する作用が強くはたらきます。
密輸人があるときにありがちなこと
- パターン1
負けている側が狩猟団を買いました。相手の密輸人が狩猟団を獲得できるので差は縮まりません。
- パターン2-1
相手が狩猟団を獲得したので自分も密輸人で狩猟団を獲得できます。しかしそれは相手も同じなのでやはり差は縮まりません。
- パターン2-2
相手は狩猟団を獲得しましたが負けている側はデッキの周りが悪いので密輸人を引けませんでした、あるいは密輸人であえて獲得しない選択肢を取らないと3山切れが発生して敗北します。
- パターン3
負けている側は密輸人を恐れて狩猟団を買いませんでした。状況は好転しません。
3山切れを誘発する
さらに相手が獲得したカードを獲得するということは同じ名前のカードばかり減るということなので、山切れが早くなります。早期の3山切れはやはり負けている側には不利に働きます。負けそうなときに3山切れが近くなったから公領で点数を……公領は密輸人されるんでした、詰みですね。
弱いプレイヤーの密輸人は利敵行為
何度も言います、密輸人は勝っている側は気軽に強いカードを獲得できますが、負けている側が密輸人を使うと相手の密輸人を強くする側面のほうが大きく重くのしかかります。
勝ってる側は強いカードを簡単に獲得できるカードで、負けている側は相手に強い動きをさせ続ける利敵行為にすらなるカードです。優位に立ってる側は密輸人を使ってほしいとすら思っています。いま僕はパドックを買ったからきみは密輸人を使ってパドックを取ってくれ、そうすれば僕も密輸人でさらにパドックが手に入る……ってね。
もし密輸人が弱いと思っている人がいたらこれが原因です。極端に言えば弱いプレイヤーが持っていても強くないのです。自分でこういうこと言うのはひどいなと思いますが事実密輸人がそういうカードなので仕方がありません。
そもそもドミニオンは性質上どんなカードも勝ってる側が使えば強いのでは
そうですね。ただの工房でもデッキ回転が速いプレイヤーの工房のほうが強いでしょう。
しかし工房は負けている側でも工房として使えますが、密輸人は使わないほうがましである可能性まであります。
では拷問人みたいなものといえばいいでしょうか。密輸人=拷問人。どちらも3文字で最後の漢字は人、間違いなく似ていますね。
負けている側が使っても弱いどころか首を絞めることになりかねない(3山切れ近いときの拷問人は相手に呪いを獲得してほしくないときがあります)。密輸人もそういったカードの一種なのです。
密輸人は2枚買え
今回2番目に主張したい部分です。
サプライによるところも大きいですが、コンボ場なら2枚以上持ってても損することは少ないです。単純に考えて相手の獲得したカードを2倍獲得できるんですよ。先手で密輸人を使って密輸人を獲得するのはチャンスです。2枚目の密輸人を買う手間が省けるのですから。単純に獲得回数が増え、3山切れのコントロールもしやすくなります。
ただし負けてる側がたくさん持っててもいたずらに3山切れを加速させるだけで状況は好転しない可能性はあります。
でも密輸人って弱いときあるよね、例えばさ……
相手が属州しか買わなかったら?あるいは銀貨だけとか?
密輸人を持ち上げる話をしているとこう思う方がいると思います。
二人戦のドミニオンでターン中に獲得したカードが属州や銀貨のみなんてことはめったになく、もしそうなるならたいていはそれは弱いターンだったといえます。相手が属州を買うことしかできないデッキなら密輸人があろうとなかろうと勝てるはずだということです。
ほかにも密輸人で取れないカードがある、騎士とか
負債、ポーションや闇市場があるために密輸人が機能しない?それはたしかに密輸人を買うべきではないサプライです。
いちおう終盤は公領を獲得することに期待できるので終盤の3金は密輸人はあり寄りの選択肢です。しかし密輸人の使い方については今回は本題から外れているのでこの話は終わりです。
対戦相手と戦術が違うときは?
……どういうことですか?自分がコンボをしようとしたら相手は交易人封土をし始めたとかですか?
なぜ対戦相手とやることが違うんですか?それは多分対戦相手が弱くて密輸人があってもなくても勝てると思います。
逆に相手のほうが強いならやはり密輸人があってもなくても負けると思います。
ようはどちらか(あるいは両方)がそのサプライを読み切れていないだけです。そこに密輸人の有無はあまり関係がありません。
だったらどうすればいいんだー!
どうしようもないです。自分が弱いことを自覚して密輸人を買わない、ってなったら本末転倒ですし。強くなるしかないんだよ!
余談
密輸人の英語名はSmugglers、複数形です。たまたま人が二人描かれていますがニュアンス的には密輸組織、密輸業者とか、組織を指していると思うんです。密輸「人」という翻訳は厳密には間違っているのでは、とずっと思っています。Horse Traders(馬商人)もそう。